アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫) Daniel Keyes 早川書房 1999-10 売り上げランキング : 8103 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools

生まれつき知的障害を持っていたチャーリィ・ゴードンは、とある大学の「頭をよくする」研究の被験者となった。

実験用マウスのアルジャーノンを競争相手に、連日検査を受け、飛躍的な知的成長によって天才へと変貌するチャーリィ。

しかし、頭がよくなれば何もかもが上手くいくと思っていたチャーリィの願いとは裏腹に、超知能を手に入れた彼に待ち受けていた現実は、決して全てを幸せと言えるものではなかった…。

物語は主にチャーリィの視点の「経過報告」という形で書かれ、彼の知能が上がるにつれて少しずつ文章にも変化が及ぶという描写が新鮮でした。

現代医療の発展と、それを支える実験に捧げられた多くの人々の気持ちを考えさせられる内容です。

原型の中編小説は１９５９年に発表され、それが現在の長編の形に改められたのが１９６６年です。５０年も前の作品であるにも関わらず、医療や医療倫理に纏わるその高いメッセージ性は色褪せることなく、むしろ一層大きな意味を持ち始めています。

1960年にヒューゴー賞、1966年にネビュラ賞を受賞し、当時から現在に至るまで世界中で読まれている感動長編です。

オススメ度: ★★★★★(5/5)