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第三回本格ミステリ大賞を受賞した作品です。単行本のハードカバーでは一冊なのですが、文庫版では「夜の章」、「僕の章」の二冊に分かれています。(リンク先は文庫版)

全編を通して同じ世界観、設定の中で、登場人物の「僕」と「夜」を中心として繰り広げられる六つの短編による連作です。

乙一さんの作品はとても一つのジャンルに括れない、言い方によっては型にはまらない作風が魅力なのですが、本作においては特にミステリ要素がとても強くなっており、また一部ではややグロテスクでホラー的な表現も見られます。

各短編の題名は以下の通り。

・「暗黒系」
・「犬」
・「記憶」

----文庫版の区切り----

・「リストカット事件」
・「土」
・「声」

僕が特に気に入ったのは「犬」という短編です。最後になって訪れたどんでん返しによって、まんまと作者の狙い通りに騙されてしまいました。同じような引っ掛けが最終話の「声」にもあるのですが、こちらはやや複雑で、しっかり内容を読み進めていかないと話の流れに置き去りにされてしまいます。

ともあれ、全編を通して乙一さんの抜群の文章力によって描かれた世界は飽きさせることを知らず、ワクワクしながら最後まで読むことが出来ました。それから、今回も「あとがき」は面白いので必見です。

ちなみに文庫版を読もうという方のための注意として、「夜の章」が第一巻にあたりますので、そちらを先に読んで下さい。通し番号のようなものがないのでお気をつけ下さい。

オススメ度:★★★★★(5/5)


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