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型に囚われない様々な雰囲気の作品を書き続けている作者・乙一の短編集『ZOO』を二冊に分けた文庫シリーズの一冊目です。

本作『ZOO1』に掲載されている短編は五つ。どれも独特で興味深い内容なのですが、僕が特に気に入ったのが『SEVEN ROOMS』という作品。

狂気に満ちた「殺人鬼」による目的も分からない犯行に巻き込まれた姉弟の悲劇。手に汗握る展開と、巧みな描写によって形作られる生々しい情景に引き込まれました。最後のオチは割と予想通りの形でしたが、淡々と語られる凄惨な結末には胸に冷たい針が刺さったような感覚が残りました。ただし、決して嫌なものではありません。

その他の作品は、『カザリとヨーコ』、『SO-far そ・ふぁー』、『陽だまりの詩』、そして表題にもなっている『ZOO』の四つで、こちらもどれも面白かったです。

ただし一様に言えるのが「人を選ぶ」という事。初めてこの作者の作品に触れるという方は、まず書店で立ち読みでもしてみた方が良いかもしれません。

逆に乙一のファンの方で未読の方は即購入しちゃいましょう。

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