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ZOO 2 (集英社文庫) ZOO 2 (集英社文庫)

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先日、記事にした「ZOO1」の続きです。一つにまとめても良かったのですが、短編集と言う体裁から続けて読む必要もなく、場合によっては片方だけを読んでも良いと思ったので、別個に記事にしました。

こちらは六つの短編を収載しており、期待を裏切ることなくそれぞれ全く違った趣向の面白さ、展開を含んでいます。

各短編の表題は以下の通り。

『血液を探せ!』
『冷たい森の白い家』
『Closet』
『神の言葉』
『落ちる飛行機の中で』
『むかし夕日の公園で』

殺人事件をテーマにしているにも関わらず、どこか喜劇的な進行が見所の『血液を探せ!』から、不気味な静寂を湛えた猟奇的な物語『冷たい森の白い家』への話の切り替わりに少し驚きました。

次の『Closet』はZOOの中では比較的「普通」のお話で、単体としては十分に面白いのですが、「ZOO」全体の中で見てみると、個人的にはあまり魅力を見出すことが出来ませんでした。

その後に続く『神の言葉』は、自らの気持ちを念じた言葉が現実のものとなる、というありがちなネタなのですが、そこから思いもよらぬ展開の中で巧みに描かれており、とても奥が深かったです。

その次の『落ちる飛行機の中で』は一つ目の『血液を探せ!』と少し似た雰囲気を感じるお話で、何度か繰り返されるどんでん返しの後の結末は少し意外でした。

最後の『むかし夕日の公園で』は十五ページ弱で終わってしまう詩のような短さなのですが、「ZOO」を読み進めた最後に据えられたこのお話にこそ、短い文章の中に深く広い情景を創り出す乙一さんの本領が発揮されているように感じました。

作品のどれもが内容が詰まっており、一つの短編で一冊の文庫小説と同じくらい多くを得られる「お買い得」な書籍でした。

オススメ度:★★★★☆(4/5)


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